大分夫婦と不倫のリアル ― 別府湯けむりと唐揚げ編

大分って、こんなところ

• 面積：6,341㎢（全国22位）
• 人口：約109万人。大分・別府の両市に4割、北部は中津・宇佐の唐揚げタウン、南部は海と山のアウトドア県
• 気候：温泉の湯気が霧となる冬は冷え込み控えめ。夏は太平洋からの海風で湿度低め
• 産業：温泉湧出量日本一、鶏肉消費量も全国トップクラス。観光は別府八湯と国東半島六郷満山が柱
• 交通：大分空港から福岡まで空路40分。県内はJR日豊本線と国道10号が温泉と唐揚げ店をつなぐ“恋のグルメライン”

湯けむりと鶏の香りが入り混じる街並みで、心の温度はいつも高めに保たれる。

“大分夫婦”のあるある

温泉は日常の延長線

休日は家族で湯めぐり。源泉掛け流しに浸かりながら「今日はどうする？」と作戦会議。いつでも癒やしを手に入れられるゆとりが、夫婦間の危機感を薄めることも。

“中津からあげ”はソウルフード

夕飯にテイクアウト唐揚げを買う文化が定着。部位やタレのこだわりで夫婦がマニアックに論争し、勝負に負けた側がビールを注ぐルールが暗黙で存在。

湯煙LINEと家族LINE

地元民は温泉スタンプを送り合うノリ。夫婦LINEは実務連絡が中心で、雑談は高校時代の同級生グループに流れやすい。ここに昔の元カレ・元カノが潜む。

恋の火がつく瞬間

別府地獄めぐりは鉄板の非日常。真っ赤な血の池地獄を背に“温泉たまごソフト”を二人でシェアすると、湯気に乗った硫黄の匂いと甘いカスタードの香りが絡み合い、普通の観光がひと足飛びに背徳モードへ変わる。また、別府駅前の高架下で深夜に漂う温泉蒸気は霧がわり。仕事帰りに待ち合わせた二人が、周囲の視線を気にせずに肩を寄せるには十分すぎる覆面効果を発揮する。

北部では中津からあげフェスが恋のクロスロード。揚げたてを頬張りながら「骨アリ派？ なし派？」と笑い合ううち、指の油を紙ナプキンで拭き合う動作が妙に生々しい。ビール片手にステージへ近づけば、ほろ酔いと唐辛子の刺激が一気に距離を溶かし、「帰りどうする？」の問いが暗号に早変わり。

さらに春の別府大分毎日マラソンは合宿型出会いの温床。ボランティアとして参加する既婚ランナーが県外の選手サポート係に指名され、数日間同じホテルで栄養管理とマッサージを担当。レース本番で感極まり抱き合った瞬間、筋肉痛より熱い火花が散る。

密会コースと隠れ家スポット

湯けむりを避けるどころか、あえて包まれるのが大分流。別府市街から少し外れた明礬温泉の山間には、夜だけ灯りを落とす蒸し湯小屋が点在している。藁葺き屋根から漏れる黄色い明かりを目印に、浴衣姿で坂道を上れば、硫黄の香りと杉の香が重なり空気がモノクロ写真のように静まる。低い天井で蒸し湯に身を沈めると、視界はほぼゼロ。耳元でしか話せない距離感が、息づかいと汗に甘いシロップを足す。

車を走らせて国東半島へ入ると、線香の香りが漂う六郷満山の古刹が現れる。観光客が帰った夕方以降、石段に灯る蝋燭の列をたどると本堂裏の竹林へ出る。足元ライトだけが頼りの薄闇で、竹が風に揺れ合う音が人の気配をかき消し、手の甲が触れた程度でも心に鈴が鳴る。

北へ抜けるなら耶馬溪の青の洞門。水面に映る石橋のアーチは夜の照明で深紫色に染まり、水上テラスでは期間限定の“月見カクテル”が振る舞われる。渓谷の反響で声がささやきに近づき、グラスが触れ合う音が谷に溶ける頃、二人だけの水鏡が完成する。

数字で読む県ラブ事情

• 離婚率：人口千対1.96（全国8位）
• 平均初婚年齢：夫30.4歳／妻28.8歳
• 別府八湯年間入湯者数：およそ1,020万人
• 中津からあげ年間消費量（県推定）：鶏モモ換算約9,000t
• マラソン合宿参加者：年間約6,800人、そのうち県外比率62％

別府・中津ゴシップ＆事件簿

2021年、明礬温泉の蒸し湯小屋で既婚観光協会職員とSNSインフルエンサーがツーショット自撮り。湯気に隠れ油断したのか、背景の脱衣かごに職員証が写り込み“湯けむりバレ”で拡散した。翌年のからあげフェスでは、全国大会出場店の若手店主と地元TV局の既婚女性ディレクターが油まみれの手で抱擁する写真が裏方LINEから流出。「油断禁物不倫」とタブロイド紙が見出しを飾った。さらに2023年の別府マラソンでは、県外招待ランナーと既婚マッサージ師がレース後に砂湯で待ち合わせ。露天を囲む竹垣の隙間から観光客の動画に映り込み、湯船の湯気より熱い弁解会見を開く羽目になった。温泉の蒸気は隠れ蓑になる一方、スマホカメラも湯気に負けず熱を追う。

心が揺れたときのセルフケア

湯けむりとビールが誘う夜には、夫婦で“別府地獄スタンプラリー”を再体験してみてほしい。スタンプを押すたびに互いのスマホでツーショットを撮り、その日のうちにフォトブックにまとめる。写真を共有すれば温泉の記憶を二人用に上書きできる。中津の唐揚げフェスに心が揺れたら、あえて唐揚げ食べ比べデートを企画し、点数をつけて家庭内ランキングを発表。ゲーム性がスパイスになり、外の刺激が家の笑いに変わる。夜更かしが続くマラソン合宿シーズンには、夕食後すぐに家族湯を予約し、スマホを持ち込まずにお湯の音だけで会話。熱い湯が“湯けむりLINE”の代わりに気持ちをほぐしてくれる。

まとめ

湯けむりと唐揚げの香りが交差する大分では、温度もスパイスも常に高め。別府の地獄蒸し、国東の竹林、耶馬溪の水鏡――どの風景も恋を煽るアロマを放つ。

私だって蒸し湯小屋の真っ白な湯気の中で「汗、拭いてあげようか」と囁かれたら溶けそうになる。でも湯上がりの風が頬を冷やす前に、手を引く先がどこかを確認する勇気を忘れたくない。湯気が晴れたあとの景色こそ、本当に温かい場所かもしれないから。